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不動産の相続で売却前に名義変更は必要か?手順と注意点を解説

住宅の査定・売却

染野 和弘

筆者 染野 和弘

不動産キャリア20年


親から不動産を相続したものの、そのままにしていて大丈夫なのか、名義変更をせずに売却できるのか、不安を抱えている方は少なくありません。
相続した不動産の名義が親のままでは、原則としてスムーズな売却はできず、相続登記と呼ばれる名義変更の手続きが重要な役割を持ちます。
さらに、2024年4月からは相続登記が義務化され、売却予定の有無にかかわらず対応が必要となるケースも増えています。
本記事では、不動産の相続と売却の関係、名義変更が本当に必要かどうか、そして手続きの流れや注意点を、初めての方でも理解しやすいように整理して解説します。
相続した不動産をどうするか悩んでいる方は、判断の前にぜひ一度読み進めてみてください。

相続不動産を売却する前に名義変更は必要?

不動産の所有者や権利関係は、不動産登記簿という公的な帳簿で管理されています。
登記簿には、誰がどのような原因で所有権を取得したのかが記録されており、この名義人と売主が一致していなければ、通常の売買は進められません。
そのため、親が亡くなった後に不動産を売却する場合でも、登記簿上の名義が親のままでは、原則として売買契約や所有権移転登記を行うことはできない仕組みになっています。
まずは登記の基本と、名義と実際の所有者を一致させる重要性を理解しておくことが大切です。

相続が発生すると、本来は相続人全員の共同所有という状態になりますが、不動産を売却するためには、登記簿と現実の権利関係をそろえる必要があります。
そのために行うのが「相続登記」であり、これは登記簿上の名義を被相続人から相続人へ移すための手続きです。
相続登記をしないまま売却を進めようとすると、買主側の金融機関によるローン利用が難しくなるなど、実務上ほとんど成立しないと考えた方がよいです。
結局のところ、売買契約の締結までに相続登記を完了しておくことが、安全かつ確実な取引の前提条件になります。

相続登記は、長らく相続人の任意の手続きとされてきましたが、所有者不明土地の増加が社会問題となったことを受け、法律が改正されました。
現在は、不動産を相続したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが義務付けられており、正当な理由なく怠った場合には10万円以下の過料が科される可能性があります。
この義務化は、相続後すぐに売却する場合だけでなく、当面は利用する予定がない住宅や土地であっても対象となります。
つまり、親から不動産を受け継いだ時点で、売却の有無にかかわらず名義変更が必要になる場面が大幅に増えていることを押さえておく必要があります。

項目 概要 相続人への影響
登記簿上の名義 法律上の所有者の表示 売却時の売主として扱われる
相続登記 被相続人から相続人への名義変更 売買契約や担保設定の前提条件
相続登記義務化 相続を知った日から3年以内に申請 放置で10万円以下の過料リスク

親から相続した不動産の名義変更(相続登記)の手順

まずは、名義変更を進める前提として、相続人と相続財産を確定させることが大切です。
被相続人が遺言書を残しているかどうかを確認し、自筆証書遺言であれば原則として家庭裁判所での検認手続きが必要になります。
遺言書がない場合や、遺言だけでは分け方が定まらない場合には、相続人全員で遺産分割協議を行い、内容を遺産分割協議書として書面化します。
これらの整理が済んで初めて、誰が不動産の名義人になるかが確定し、相続登記に進むことができます。

次に、法務局へ相続登記を申請するための必要書類をそろえます。
主なものとして、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人の戸籍謄本や住民票、遺産分割協議書や遺言書などが挙げられます。
不動産の評価額を証明するものとして、固定資産評価証明書を市区町村役場などで取得し、その年度のものを添付することが一般的です。
また、登記申請書自体は法務局の案内や様式例を参考に作成し、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。

相続登記には、登録免許税などの費用がかかる点にも注意が必要です。
登録免許税は、原則として固定資産税評価額に税率を掛けて計算し、相続による所有権移転登記の場合は評価額に対して税率0.4%が適用されます。
相続登記の義務化により、相続が発生したことを知った日から3年以内に申請する必要があり、正当な理由なく放置すると過料の可能性があるため、早めの準備が重要です。
費用と手続きの手間を踏まえて、戸籍類の収集や評価証明書の取得に時間がかかることを想定し、余裕を持ってスケジュールを組むと安心です。

段階 主な内容 注意したい点
事前整理 相続人確定と遺産分割協議 遺言書の有無を必ず確認
書類準備 戸籍類と評価証明書収集 取得先と有効性を確認
申請・費用 法務局へ登記申請 登録免許税と期限に注意

名義変更後に行う相続不動産の売却の流れと注意点

相続登記による名義変更が完了したら、不動産売却はおおむね「査定」「売出価格の検討」「売買契約」「決済・引き渡し」という流れで進みます。
査定では、不動産の状態や周辺の成約事例などを踏まえて、売却の目安価格を把握します。
その上で、売出価格や売却時期、契約条件を検討し、買主が見つかった段階で売買契約を締結します。
最後に、残代金の受け取りと同時に所有権移転登記の申請や鍵の引き渡しを行い、売却手続きが完了します。

相続で複数人が所有者となった共有名義の不動産を売却する場合は、共有者全員の同意が必要になります。
誰が売主として契約書に署名押印するか、誰が窓口となって手続きを進めるかについて、あらかじめ相続人同士で合意しておくことが大切です。
共有者のうち高齢の方や遠方在住の方がいる場合には、委任状を作成して代表者を定める方法もあります。
いずれにしても、売却後の代金配分や費用負担のルールを事前に話し合い、書面で残しておくとトラブルの予防につながります。

売却が完了すると、翌年の確定申告期間に譲渡所得の申告が必要になる場合があります。
不動産を売却した際の譲渡所得は、売却代金から取得費や仲介手数料などの譲渡費用を差し引いて計算し、一定の場合に適用できる特別控除や税率の区分は国税庁の案内に基づき判断します。
相続で取得した不動産を売却したときは、被相続人が取得した時期や取得費を引き継いで所有期間や取得費を計算する取扱いがあるため、過去の売買契約書や領収書をできる限り集めておくことが重要です。
相続税の申告が必要であった場合には、相続税申告書の内容と譲渡所得の計算との関係についても確認しながら、早めに税務署や税理士へ相談すると安心です。

場面 重要な確認事項 主な注意点
売却手続き全体 査定から決済までの流れ把握 名義変更完了後に売却開始
共有名義での売却 全員の同意と代表者の決定 代金配分や費用負担の事前合意
売却後の税金 譲渡所得の有無と確定申告要否 取得費資料と特例適用の確認

名義変更と売却で迷ったときの判断軸と専門家への相談ポイント

親から相続した不動産をすぐ売却するのか、しばらく保有するのかによって、名義変更の進め方や管理の負担は大きく変わります。
いずれの場合でも、令和6年4月から相続登記の申請が義務化されているため、相続を知った日から3年以内に名義変更を行う必要があります。
また、将来売却する可能性があるなら、早い段階で名義を整理しておくことで、買主との契約や融資審査が円滑に進みやすくなります。
こうした点を踏まえて、売却か保有かを検討しながら、無理のないスケジュールで相続登記と管理を進めることが重要です。

相続後の不動産については、遠方にある物件や空き家、利用予定のない土地などでは、固定資産税や維持管理費だけがかかり続ける状況になりやすいです。
内閣府や法務省の資料でも、相続登記の義務化が空き家や所有者不明土地の増加を防ぐための対策と位置付けられており、使う予定のない不動産を長期間放置することの問題点が指摘されています。
そのため、今後自分や家族が居住や事業で使う見込みが乏しい場合は、相続登記を済ませたうえで、早めに売却や利活用を検討することが、負担軽減につながります。
一方で、将来子や孫に引き継ぐ意向が明確で、維持管理が可能であれば、収支や税金も踏まえて中長期的な保有を選ぶこともあります。

相続登記や売却に際しては、必要書類の収集や登記原因の整理、譲渡所得の計算など、専門的な検討事項が少なくありません。
法務省は、相続登記の申請義務化に関する資料の中で、司法書士などの専門家との連携や相談体制の充実を進めており、相続人だけで手続きを抱え込まないことが勧められています。
また、国税庁は、相続した土地建物を売却した場合の譲渡所得の取扱いや申告方法を詳細に解説しており、取得費や相続税との関係など、税金面で事前に確認しておくべき点が多いとされています。
こうしたことから、登記手続きは司法書士、税金の検討は税理士というように、役割を分けて相談先を選ぶと、相続登記と売却の両方について、より適切な判断がしやすくなります。

状況 検討したい選択肢 主な相談先の例
すぐ売却を予定 相続登記と売却時期の調整 司法書士・税理士
遠方の空き家 売却か管理委託の比較検討 司法書士・専門相談窓口
利用予定のない土地 売却や将来の負担軽減策 司法書士・税理士


まとめ

親から不動産を相続したら、売却予定の有無にかかわらず名義変更は避けて通れない重要な手続きです。
特に2024年4月以降は相続登記が義務化され、放置すると売却が進まないだけでなく、思わぬペナルティや家族間トラブルにつながるおそれがあります。
名義変更から売却、税金までを一連の流れとして早めに整理しておくことで、スムーズで損をしない相続不動産の活用が可能になります。
「自分の場合はどう進めるのが良いか」と不安を感じた方は、ぜひ一度当社へご相談ください。
状況を丁寧にお伺いし、必要な手続きや売却の進め方を分かりやすくご案内いたします。

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